親愛なる姉さんへ。

7月17日（水）涼しい夜風（いまのところ）

さっき、哀しいお知らせが届いた。
素敵男子が小さい頃から飼っていて、家族の一員で、嫁の私にとっては姉にあたるチビ太姉さんが息をひきとったそう。

夕方、横たわった姉さんに会いに帰った。


生き物全般が苦手な私を見透かすように吠えまくった姉さん。
2年目くらいから、吠えられなくなって、でも愛のムチでよくおいかけてきた姉さん。
乙女なのに、男の子みたいな名前をつけられちゃった姉さん。
お父さん作の庭付き一戸建てに住む姉さん。

なんだよう。ほら！かおちゃんだぞ！追いかけておくれよ〜！！
いつもみたいに、ワン！って一喝しておくれよ〜。




姉さんに見えないように素敵男子の背中に隠れて泣いてしまう。


私の涙は、お母さんやお父さん、おばあちゃん、そして素敵男子の姉さんへの想いが伝わってきてのもの。
そして、やっぱり命あるものがその命をまっとうしようと懸命に頑張っている姿を見てのもの。


素敵男子は、朝になるのを待たず、実家へと向かいました。
私は朝から仕事だから！と押し切られ、お留守番。
「私も行く！」と困らせ、素敵男子を姉さんのそばに向かわせないのはいけないし、思いとどまった理由がもうひとつ。

私は知らない、姉さんの思い出話を姉さんが若々しくて元気だった頃の家族だけで話して過ごして欲しかったのです。
ひがみだとか遠慮とかじゃなくて。こんな言い方間違っているかもだし、寂しい思いにさせてしまうかもしれないけれど。
うまく言えないけど、【本当の家族】だけで、今晩は過ごして欲しかったのです。
こんなこともあったねと、笑いあいながら話して欲しかったのです。
その場に、素敵男子にもいてほしかった。



思い出を語れることは幸せなことだと思います。
もっとこうしていればと後悔することはもうそれで懺悔しているのだと、とっとりのおばあちゃんに教わりました。
なにより、姉さんは最期まで、大好きな大好きなお母さんとお父さんと一緒にいられた。
ひとりぽっちなんかじゃなかった。
これは、長い間、家族に笑顔と癒しを与え続けた姉さんの徳なのだと思います。



私なんかがこんな風に書き留めるのは間違っているのかもしれません。




親愛なる姉さんへ。
へっぽこ嫁のかおちゃんより。